第34章

公爵は、アリシアが感情に流されなかったことに内心ほっとしていた。年端もいかない子ども――とくに少女は、闘技場の実情を目にすると、あそこにいる魔獣に同情してしまいがちだ。機会があれば助けてやりたい、と。だが公爵に言わせれば、それは褒められたことではない。

闘技場のやり方が正しいと思っているわけではない。ただ、人間の側に立って考えれば、魔獣は確かに死敵だ――少なくとも今日までは、ずっとそうだった。敵に対して、余計な慈悲など抱くべきではない。

長年、辺境を守って外敵と魔獣を退けてきたロゲスト公爵は、魔獣が人間にもたらす害を骨身に染みて知っている。獣潮が来るたび、村は次々と飲み込まれ、住民は丸ご...

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